演劇の脚本かんがえてみた⓷ 野良猫の本音

利奈・・白薔薇女子大に通う3年生の女子大生。バイトやゼミだとか大忙し。大学に住み着いた猫の「シロ」の日常を羨ましく思っている

美穂・・利奈と同じ大学に通う女子大生。コンパやバイトで忙しい。

シロ・・白薔薇女子大に住み着いた野良猫。5歳オス

事は、白薔薇大学のキャンパスで始まる。そこでランチしている利奈と美穂

利奈「あぁ、クッソ忙しい!!!!」

美穂「何?今日もバイト?焼き鳥屋だっけ?」

利奈「店長もさぁ、人いないからって、無理にシフト入れるなっつぅの。朝の4時まで5連勤とか鬼じゃない?しかも明日一限からだし。」

美穂「入ってもすぐ辞めちゃうんでしょ?私は無理だな。匂いとかつきそうだし。」

利奈「そう!マジで!!!帰ったらソッコーシャワーしても、布団の中はいると、それでも匂いついてるんだよね。」

美穂「うわぁ・・きっつぅ・・・って今週の土曜のコンパ行く?」

利奈「恵梨香のコンパ??・・・あぁ・・・大概、メンバー微妙だし、正直今まで見た目とか微妙なの多くなかった?」

美穂「分かる。なんかいまいちピンと来ないって言うかさ。」

利奈「LINE教えたら、なんか、大して興味のないのに限って、連絡くるじゃん?」

美穂「あるある(笑)」

利奈「そういうの断るのもウザいし、今回は止めとくわ。」

美穂「バイト先にはだれか良いの居ないの?」

利奈「かっこいい人とかいるけど、でも彼女いるんだよね。」

美穂「私も同じ。売れ残ったのと付き合うほど、自分を安売りしたくないしさ。」

利奈「それ分かる~」

そこに大学に住み着いた白猫のシロが登場

シロ「ニャー」

美穂「シロちゃん可愛い!!!!」

美穂がシロの喉をなでると、気持ちよくゴロゴロする。」

利奈「はぁ・・・何か私もシロみたいな野良猫になりたいわ。」

美穂「分かる!!!何かめっちゃ自由だしね!!!」

利奈「絶対、こいつ幸せっしょ?何か悩みとかな~んも無さそうだし。」

美穂「そんな事言っちゃだめだって(笑)。ねぇ?シロ?あんただって悩みの一つや二つあるよねぇ???」

シロ「ニャー」

利奈「絶対、こいつ幸せだって。はぁ・・何か良い事ないかなぁ!!!」

美穂「あ。次の授業あるから、そろそろ行くわ。」

利奈「あい。じゃまたね。」

その日利奈は朝の4時までバイトをする。今日も焼き鳥屋は大忙し。そしてシャワー浴びて倒れこむように寝る利奈。

利奈「はぁ~・・鬼疲れた。もう寝よう・・・」

そして利奈の夢の中

何かの声「おう!!!!起きろ!!!起きろ言うてんねん!!!」

利奈「・・・は??何々???」

何かの声「ワシや!!!お前と毎日会うとるワシや!!!」

利奈「・・・」

利奈目をこする。そこには自分よりも遙かに大きくなった、野良猫のシロが!!!

利奈「え・・・シロ????」

シロ「お前、気軽に呼び捨てにすな!!!」

利奈「は?何で???どうして???」

シロ「今日の昼間、自分、好き勝手言いおって。わしゃ怒っとるで!!!」

利奈「ちょっとちょっと意味分からないんですけど!!!」

シロ「ちょっとお前、頭だせや」

利奈「は???何々???」

利奈訳も分からず、頭を出す。そしてシロが猫パンチを見舞う。

利奈「いったーい!!!ちょっとなにすんの!!!」

シロ「お前があんま舐めとった事言うから、その制裁や!!!」

利奈「制裁??私、何もしてないでしょ・・・ってシロって関西人だったの???」

シロ「おう!!!呼び捨てにすなと言うたやろ???」

利奈「・・・はぁ、で私が何したの???」

シロ「お前、昼間こう言っとったよな。「何も悩みが無さそうで良い」とか」

利奈「だってそうなんじゃないの?」

シロ、もう一回、猫パンチで利奈の頭を殴る

利奈「いったーい!!!ほんと何すんの!!!」

シロ「お前舐めとったらあかんど。お前が思うとるより、野良猫の世界は厳しいんじゃー!!!!!」

利奈「・・・そうは見えないけど」

シロ「お前、大概にせんと、もう一回どつくど?」

利奈「で、さ・・状況は・・あぁ・・うーん・・・いまいち分かってないけど、何が言いたいわけ?私に何してほしい訳???」

シロ「俺ら野良猫界はなぁ・・・お前ら人間が思うよりもずっときつい仁義なき世界なんや。」

利奈「てか、あなたしゃべりがやたら、おっさん臭いね。気になってたけど。本当にシロなの?」

シロ「せやから、呼び捨てにするな言うてるやろ!!!ワシは5歳や。もう十分おっさんなんや。」

利奈「・・・何かバイトの焼き鳥屋のお客さんとしゃべってるみたい・・」

シロ「まず言うとくけどな。野良猫めっちゃきついで。」

利奈「え?気楽そうに見えるけど、バイトもないし、試験も無いし」

シロ「お前、ちょっと足りない脳みそで考えろや。」

利奈「はぁ?なんで猫ごときにそんな事言われなきゃ行けない訳?」

シロ、も一回猫パンチでなぐる

利奈「いったい!!!だから殴るなっての!!!!」

シロ「アホ!!!ワシらからみればな、何で猫が人間ごときに舐められなあかん思うとるで。ワシら野良猫は、これでもプライド持って生きとるんじゃい!!!」

利奈「・・・分かったよ。で、何が言いたいわけ?」

シロ「ワシら野良猫はな・・お前らみたいに暖かい寝床も、明日の食べ物も何も保証されてないんや。」

利奈「そりゃ・・そうだけど、でもそれも自由の代償なんじゃない?」

シロ「お前、一度でもワシらみたいな生活したら、そんな舐めたことも言えんくなるど。ワシかて、好きでお前らに媚び売ってる訳やないんやで、食うに食えんくて仕方なくやっとるんや。」

利奈「あ。そうなの。」

シロ「お前、想像したことあるか?お前ら人間は、毛皮も無いから、分かる思うけど、外の寒空の下、毎日毎日過ごすんやで。ワシら野良猫は。それはそれは辛いで」

利奈「でも毛皮あるから寒くないんじゃない?」

シロ「お前らからすれば、毛布一枚だけで公園で寝泊まりとかしてるのと同じ感覚や。なぁいくら毛皮あっても寒いやろ?」

利奈「そりゃ・・まぁ・・・・」

シロ「ワシらこう見えて寒がりやねん。冬になるのが憂鬱になっとるんや。しかも夏は夏で最近、アホみたいに暑いしな。」

利奈「そりゃエアコンもないし、確かにきついかも。」

シロ「冬になるとなぁ・・・お仲間がたくさん死ぬねん。体わるぅした仲間がたくさん死ぬんや。」

利奈「そうなの?」

シロ「猫はなぁ・・死ぬとこは見せない生き物なんや。寒い冬が来て暖かい春がくるたびに「あぁ、今年も生きられた」と切実に思うねん。そんな気持ちは、お前ら人間には分からんと思うけどな。」

利奈「あぁ・・そこは確かにね。でもそんな嫌だったら誰かに飼われれば良いじゃん。」

シロ、利奈にガンたれる

シロ「おう。お前舐めとったらあかんど。何で飼われなあかんねん。」

利奈「だって、そうすれば、貴方が願ってる衣食住が揃うわけじゃん。」

シロ「お前、もうっ回足りない脳みそで考えろや。」

利奈「え?だってその方が幸せなんじゃないの?」

シロ「お前、飼われたら、どうなる思う?」

利奈「うーん・・」

シロ「毎日同じ家の中で自由も無い。帰ってきた人間に餌をこう・・・そして一番堪えれんのはな・・・」

利奈「何??」

シロ「去勢されてまうやろ?」

利奈「だって、それは仕方ないんじゃないの?」

シロ、また利奈の頭叩く

利奈「だから、さっきから何度もなんなのーーー!!!!」

シロ「お前、去勢された猫がどんな惨めか考えた事あるんかい!!!!」

利奈「だって、あなたたちが増えすぎちゃったら、糞とかいろいろ問題になるじゃん。」

シロ「お前、もうちょっと考えてから意見せぇや。それもこれも全部、お前ら人間の都合やないかい!!!!」

利奈「何がそんなに嫌なの!!!!」

シロ「お前ら人間の勝手な都合で、ワシらの仲間が去勢されて、避妊させられ取る。でもお前考えた事あるか?」

利奈「何を???」

シロ「恋愛も交尾も出来ない一生にお前、我慢できるか???」

利奈「でも、しないとみんなに迷惑かかるし・・」

シロ「何度も言わすな。迷惑かかるとかそういうのは、全部お前ら人間の都合やろ?」

利奈「・・まぁ確かにそうだけど・・・」

シロ「お前、昨日言うとったな。コンパだのなんだの、あれはオスの話やろ?」

利奈「・・・あんた、そんな事聞いてたわけ??」

シロ「あんまワシら舐めるなよ。それで、お前、そんな話できるのも去勢も避妊もされてないから出来るわけやろ?」

利奈「・・・そうだけど?」

シロ「去勢や避妊されたら、お前、あの男は微妙だったとか、そんな生意気なことも言えなくなるんやで?お前、そんな生活満足できるか?」

利奈「・・・うーん・・何か段々申し訳ない気持ちになってきたなぁ。」

シロ「お前、考えてみぃ・・10メートルくらいある巨人に飼われて、避妊させられて、餌与えられて毎日「可愛い」とか言われてる生活を・」

利奈「絶対嫌だ!!!!」

シロ「飼われてるって、そういう意味やねん。だからワシはプライドもって野良やっとるねん。もちろん去勢はされてへんで。」

利奈「じゃ、望んで野良やってるんだ?」

シロ「せやから、お前らに「悩み無さそう」思われたらカチンと来るの分かるやろ?」

利奈「あぁ・・何かすっごい心に罪悪感・・・・」

シロ「それにな・・・ワシら野良は、もう一つ恐ろしいことがあんねん。」

利奈「何?」

シロ「交通事故や。仲間も何匹か、やられとる。」

利奈「あぁ・・たまに見るよね。」

シロ「お前ら人間が、アスファルトだらけの世界にしてもうて、猛スピードで走る車がビュンビュン通るって、ほんま地獄やで。」

利奈「交通ルールとか猫には難しいよね。」

シロ「せやから、車がほとんど通らない大学にワシは住み着いとるねん。」

利奈「そうだったのか・・・なんか本当に・・・さーせん!!!」

利奈頭を下げる

シロ「お前ら人間が、好き勝手に世界を変えてもうて、しかも他の人間に迷惑がかかるとか訳の分からん理由で、去勢や避妊されて、青春奪われてな・・・お前らが思うより、ずっとワシら野良猫は世知辛い生き物やっちゃうことや。」

利奈「なんか本当にさーせん。シロさんって呼べばよい?」

シロ「ワシもお前にきつぅ当たって悪かったな。でも仲間もワシも楽に生きとるわけやない・・それだけ分かってほしいんや。ただお前からもろうとる餌には感謝しとるで。」

利奈「何か本当に人間って自分勝手だね。」

シロ「さて、そろそろ一限目が始まる頃や。おっちゃんの説教もこれで仕舞や。明日早いんやろ?」

利奈「ってシロさん、自分の事おっちゃんって言うんだ(笑)」

シロ「ま、明日ワシに会うたら、いつものように接してくれ。じゃぁな。」

利奈目を覚ます

・・・

あれは夢だったのか。何だったのか。利奈、一限目に行く

そして昼間

美穂と利奈が同じようにランチする

美穂「今日、一限出たの?」

利奈「うん。出たよ。鬼眠たかった。」

美穂「朝の四時までだもんね。私は絶対無理・・あ、LINEだ。」

利奈「コンパの?」

美穂「何か微妙なのからまた来てる。今度食事いかがですかって(笑)。お前となんかいかねーつぅの。」

そこにシロが

シロ「ニャー・・・」

美穂「あら、シロちゃん可愛いね。今日も。」

利奈「お疲れ様っす!!!シロさん!!!」

美穂「はぁ?どうしたの利奈?どっかで頭打ったの?」

利奈「昨日は生意気言ってさーせんでした!!!!」

美穂「なになになに???利奈がなんかおかしくなっちゃったよ!!!!」

利奈「いいの。美穂。私のケジメだから。これ。」

美穂「ますます意味分からない。あぁ!!!そうかバイト4時までやって一限出てるから疲れてるんだよね!!!!」

利奈「うん。でも私たち幸せだよね。こうやってコンパとか出来るってさ。」

美穂「何か変な宗教でも入った?」

利奈「ううん。大丈夫。さて、じゃ今週のコンパやっぱ行くわ」

美穂「え?昨日あんな乗り気じゃなかったのに?」

利奈「人間で生まれた幸せ噛み締めたくなったんだよね。」

美穂「やだ!!!利奈が何か頭おかしくなっちゃったよ!!!!」

以上終わり。

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